国際出版から刊行されていた実銃とトイガンの専門誌「月刊Gun」が昨年暮れ、2011年11月号をもって休刊、版元の国際出版も営業停止となり、1962年の創刊から約50年の長い歴史を閉じた。
休刊を追悼してという訳ではないが、1962年の「月刊Gun」創刊号から記事を一つ取り上げてみる。ちなみに創刊号には巻末に俳優の三船敏郎や三橋達也、落語家の三遊亭小金馬などが創刊の辞を寄せている。当時はまだ狩猟や射撃競技の世間的認知がまだあったということか。
銃器取扱講座1 リボルバーの取扱い
指導 ジョセフ・J・マンカレラ
一般市民にも許可される拳銃所持
10月から日本の鉄砲に関する法律が改正になり、いよいよ一般の人々も拳銃所持が許可になることになったようです。
むろんまだごく一部のきびしい条件をパスしたスポーツ選手に限られていますが、しかし、これで一般市民にも拳銃射撃が楽しめるメドができたことになり、ご同慶のいたりです。
わたくしたちが射撃をたのしんでいる拳銃は、決して凶器ではなく、スポーツ用具の一種なのですから、ルールさえ守っていれば、危険なものではありません。
しかし、なんといってもオモチャではないのですから、拳銃の取扱いには、しっかりした基礎を身につけねばならないことも本当です。それでは、危険なく拳銃射撃を楽しむために“これだけは知っておきたい”取扱い方法を今月はリボルバーいついて説明いたしましょう。
リボルバー取扱い法
写真1 まず射台い立って、標的にむかし、台上のリボルバーをとりあげます。このときに注意しなくてはならないことは、いきなりグリップをにぎって引金に指をかけることのないよう、左右の手で機関部全体をくるむような気持で持つことです。そうすれば、ドッシリとして銃の重量があなたの両手を通じて身体に伝わり、いよいよ射撃をするのだ、という気持ちにひたれるはずです。
写真3 弾倉をスイング・アウトさせます。写真で持ち方は判ると思いますがハンマー、引金などには絶対に触れてはいけません。この持ち方では、銃を持つというより、弾倉を持つような気持ちでやれば、次の装填の動作がうまくゆきます。
写真4 装填です。右手は無精しないで、台上の実包を一発ずつ持って弾倉に挿入して下さい。左手指で一発ごとに弾倉を回転して、六発全部の装填をおわります。この間、銃口は常に地面に向っているので安全です。
写真5 いよいよ標的に向かいましょう。ここで特に注意したいことは、初めて拳銃を持つ人のおそらく90%以上の人が、この段階で用心金の中に指を入れ、引金に指をかけてしまうことです。特に日頃オオチャのピストルを扱いつけている人達にこの悪癖が強く見られます。オモチャでも拳銃射撃の練習は立派にできるのですから、一日も早く悪癖を矯正して下さい。
写真6 次にハンマーをあげ、撃発状態にします。ダブル・アクションのリボルバーでも、引金が重いのは射撃に不利ですから、一応ハンマーをあげて射撃するのです。右親指でハンマーをあげ、コックしますが、この時、指がスベッて暴発するのを防ぐため、左親指をハンマーと薬室底部の間に挿入しておくのです(写真参照)。引金にはまだ指を触れません。
写真7 照準に入ります。この時に初めて引金に指をかけるのが許されます。一発撃つ毎に写真のようにハンマーをあげ、自分が今何発目を撃ったかをよく記憶しておきます。6発撃ち終わったなら直ちに引金から指を離します。
銃口は決して人に向けるな!
拳銃は、ライフルやショット・ガンと異なり、銃身が短いので、えてして銃口が自分や他人に向い易いものです。その点を注意し、いつも装填されていると思って取扱うことが最大の要点でしょう。
注 使用拳銃は38スペシアル、ダブルアクション、実包はワッド・カッターです。なお、写真はカメラアングルの都合上、銃口が射手に向いているのもありますが、実際にはそのようなことはありません。
「月刊Gun」1962年12月創刊号 より
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